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バイクのタイヤの残り溝は0.8mm

二輪車のタイヤの使用限度は、残り溝0.8mmです。よく見かける1.6mmは四輪車の値で、二輪車には当てはまりません。根拠となる告示の条文と、判定の仕方を確認します。

結論

車両溝の深さの下限
二輪自動車・側車付二輪自動車0.8mm
上記以外の自動車(四輪車など)1.6mm

判定はスリップサイン(ウエア・インジケータ)で行っても差し支えないと条文に明記されています。露出した時点で使用限度です。

条文で確認する

根拠は「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」第167条(走行装置)です。使用の過程にある自動車に適用される条です。溝の深さについて、次のように定められています。

……いずれの部分においても1.6mm(二輪自動車及び側車付二輪自動車に備えるものにあつては、0.8mm)以上の深さを有すること。この場合において、滑り止めの溝の深さについての判定は、ウエア・インジケータにより判定しても差し支えない。

1.6mmが原則で、二輪車だけが括弧書きで0.8mmに緩和されている構造です。この括弧書きを読み飛ばすと、四輪の値をそのまま二輪に当てはめてしまいます。

「いずれの部分においても」が意味すること

条文は、接地部の全幅にわたる溝のいずれの部分においても0.8mm以上と定めています。平均ではありません。いちばん浅いところで判定します。

タイヤは均等には減りません。二輪車は車体を傾けて曲がるため、中央と両肩で減り方が違います。中央だけが残っていても、肩が限度に達していれば使用限度です。

なお、サイピング(細かい切れ込み)、プラットフォーム、ウエア・インジケータの部分は測定対象から除かれます。

なぜ1.6mmと混同されるのか

1.6mmは条文の原則値で、四輪車に適用される数値です。自動車整備や車検の情報は四輪車を前提にしたものが圧倒的に多く、その数値だけが独り歩きしやすい構造になっています。

実害の方向は「厳しすぎる」側なので、1.6mmで交換していれば違反にはなりません。問題は逆を覚えている場合です。四輪の感覚で「まだ1.6mmあるから大丈夫」と考えると、二輪車では判断の根拠を取り違えたまま走ることになります。

125cc以下は「二輪自動車」ではありません

ここは注意が必要です。道路運送車両法と道路交通法では、車両の区分が違います。

総排気量道路運送車両法道路交通法
50cc以下原動機付自転車原動機付自転車
50cc超125cc以下原動機付自転車最高出力4.0kW以下なら原付、超なら自動二輪車
126cc以上二輪自動車自動二輪車

0.8mmを定めているのは道路運送車両法の側の基準です。したがってこの数値が適用されるのは126cc以上の二輪自動車ということになります。

125cc以下については、保安基準第60条が「一般原動機付自転車の接地部及び接地圧」を告示に委任していますが、この条には溝の深さの数値がありません。今回参照した範囲では、原動機付自転車に対する溝の深さの具体的な数値は確認できませんでした。

実務上は、車両区分にかかわらずスリップサインが露出したら交換と考えておくのが確実です。区分の違いそのものについては新基準原付とはで整理しています。

溝以外にも基準があります

同じ条文には、溝の深さと並んで次の項目が定められています。溝が残っていても、これらに該当すれば使用限度です。

長期の旅では、日々の空気圧確認のほうが実際には効いてきます。溝は1日で減りませんが、空気圧は抜けます。

0.8mmをどう扱うか

0.8mmはそこまでしか使ってはいけないという上限側の線であって、「そこまで使ってよい」という推奨値ではありません。溝が浅くなるほど排水性能は落ち、雨天でのグリップは失われていきます。

長距離を走る予定があるなら、出発前の残り溝から逆算してください。走行距離が読める旅では、途中で限度に達するかどうかを事前に判断できます。

出典

この記事は条文と公的資料を確認して作成していますが、法令の解釈について保証するものではありません。実際の判断は、販売店や整備工場にご相談ください。

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出発前の点検項目と、消耗品を旅の前に替えるかどうかの判断については、バイク長期一人旅の完全ガイド(Kindle版・500円/Kindle Unlimited対象)の第6章で扱っています。